2021.03.22
症例②:大腸内視鏡検査
67歳の男性で、近医に高血圧で通院中、徐々に進行する貧血で受診されました。採血結果は鉄欠乏性貧血でしたので、胃カメラ、大腸カメラを行いました。
胃カメラは特に異常はなかったのですが、大腸カメラでS状結腸に茎を伴う表面が不整形の隆起と、上行結腸をほぼ閉塞する出血しやすい腫瘍があり、どちらも生検で腺癌の診断でした。肝転移、肺転移はないため、腹腔鏡下の同時切除術が行われました。ほぼ完全に上行結腸が閉塞していても、腹満、便秘、下痢などの消化器症状がでないため、毎年、検診での便潜血検査は必須であり、異常があれば内視鏡検査が必要ですね。
2019.06.14
症例:大腸内視鏡検査
68歳の男性が3か月以上続く周期的な腹痛と下痢、体重減少3キロを主訴にあすなろクリニックを受診されました。
大腸癌を強く示唆する病歴のため、大腸内視鏡検査を施行しました。横行結腸にファイバーが通過しない全周性狭窄病変を認めていました。腫瘍の一部を生検(顕微鏡検査)したところ癌細胞が存在すると診断されました。そのため結腸右半切除、リンパ節廓清が施行されました。今回の症例は大腸内視鏡検査直後の腹部レントゲン写真、上部消化管内視鏡検査、腹部CTなどを総合的に診断すると癌が十二指腸、膵臓に浸潤していることが強く示唆されたため、膵頭十二指腸切除という侵襲性の高い術式が選択される可能性が高い症例でした。
大腸癌は便秘が主な症状と思われていますが、大腸の右側に進行癌ができた場合は、便秘より下痢になることが多いといわれています。
今回の症例は医療従事者にも教育的であったため、英国の権威ある医学雑誌のひとつであるClinical Case Reportsへ論文が掲載されました。