68歳の男性が3か月以上続く周期的な腹痛と下痢、体重減少3キロを主訴にあすなろクリニックを受診されました。
大腸癌を強く示唆する病歴のため、大腸内視鏡検査を施行しました。横行結腸にファイバーが通過しない全周性狭窄病変を認めていました。腫瘍の一部を生検(顕微鏡検査)したところ癌細胞が存在すると診断されました。そのため結腸右半切除、リンパ節廓清が施行されました。今回の症例は大腸内視鏡検査直後の腹部レントゲン写真、上部消化管内視鏡検査、腹部CTなどを総合的に診断すると癌が十二指腸、膵臓に浸潤していることが強く示唆されたため、膵頭十二指腸切除という侵襲性の高い術式が選択される可能性が高い症例でした。
大腸癌は便秘が主な症状と思われていますが、大腸の右側に進行癌ができた場合は、便秘より下痢になることが多いといわれています。
今回の症例は医療従事者にも教育的であったため、英国の権威ある医学雑誌のひとつであるClinical Case Reportsへ論文が掲載されました。